複数管轄の物件に対する同日の根抵当権追加設定(司法書士実務備忘録)

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以前は実務疑義として取り上げた内容であるが、2度の経験を経て自分なりの結論を出した。

A法務局の物件に設定されている根抵当権にA法務局・B法務局・C法務局・・・の物件を同日に追加設定して登録免許税法第13条第2項の適用が受けられるのか否か。

A法務局に追加設定してその完了後にB法務局、同じくその完了後にC法務局と申請するのが一般的だが、順位変更が絡む場合やA法務局への申請後に金融機関の合併などが絡む場合など、同日に申請すべき場合がある。

ネット上ではできるという見解も散見されたが、必ずしも根拠や方法が明示されていなかった。

僕は「効力要件としての登記」とは「登記申請の受付」であり「登記処理の完了」ではないから法的には可能と判断した。

ただし、実務的には以下の条件を充足する必要がある。

1.オンライン申請でA→B→C・・・という順序を決めて申請すること。

2.A→B→C・・・の申請順序で物件を増やしていく差入れ形式の登記原因証明情報を作成すること。

3.A法務局の受付後にその受付番号をB法務局への登記原因証明情報に追記して申請し、その後も同様の処理をすること。

4.B以降の法務局が前登記証明書の添付が遅れることを(補正扱いとして)了承すること。

5.B以降の法務局が申請データに前登記物件の共同担保目録番号を入力できないことを(補正扱いとして)了承すること。

※権利に関する登記は表示に関する登記と違い「申請受付日」と異なる日が「登記日」として記録されることはない。つまり、後日取下等がない限り「申請受付日」に登記は有効に成立しているのであるから、上記4.5.も申請人側に問題はないのである。

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