第一勧銀名義の根抵当権


    たまにはがっつり司法書士実務のお話。

    旧第一勧銀名義の根抵当権を某銀行が譲り受ける(全部譲渡による根抵当権移転)という案件。

    平成14年に第一勧銀・富士・興銀の三行が会社分割等の複雑なスキームを組み合わせて現在のみずほフィナンシャルグループ(みずほ・みずほコーポレート・みずほHD)に再編された。

    僕の認識では、第一勧銀からみずほ銀行・みずほコーポレート銀行への「準共有」とした上で、他行へ譲渡することになるはずであった。

    しかし、みずほの担当支店で打ち合わせすると、平成19年2月1日以降は「準共有」とせずに、みずほ銀行への商号変更だけで済ませているとの内部資料が存在した。

    平成19年2月1日より前に何か通達でも出たのか?

    血眼になって探したが見つからない。

    唯一見つかったのは、平成14年の民事局の回答(末尾参照)だけだった。

    う〜ん・・・不安である。

    「珍しく」法務局へ質問状を送ってみた。すると・・・

    「先生、逆に何か見つかったら教えてください。」

    いやいや。毎日大量に案件処理してるんやから、今までもあったはずやろ!

    ただ、みずほ銀行が「準共有」にするための委任をしてこなければ、僕としては省略せざるを得ない。

    結果として、みずほ銀行への「商号変更」を挟むことで登記は問題なく処理された。

    法的には釈然としないが、実務的にはこの方法で問題なさそうである。

    ※元本の確定前に根抵当権者を分割会社とする会社分割があった場合の根抵当権に関する登記について

    〔平成14年12月20日不登第892号名古屋法務局民事行政部長照会、平成14年12月25日付け法務省民二第3213号民事局民事第二課長回答、同日付け法務省民二第3214号法務局民事行政部長(名古屋法務局を除く)、地方法務局長あて民事局民事第二課長通知〕

    (通知)
    標記の件について、別紙甲号のとおり名古屋法務局民事行政部長から当職あて照会があり、別紙乙号のとおり回答したので、この旨貴管下登記官に周知方取り計らい願います。
    (別紙甲号)
    根抵当権の抹消、変更又は追加設定に係る登記の申請書に添付された書面又は商業登記簿の謄抄本の記載から、当該根抵当権者について、根抵当権の元本確定前に会社分割があったことが判明する場合でも、当該申請を受理せざるを得ないものと考えますが、当該登記の前提として、会社分割を原因とする根抵当権の一部移転の登記が必要であるとする意見もあり、いささか疑義がありますので照会します。
    (別紙乙号)
    本年12月20日付け不登第892号をもって照会のあった標記の件については、貴見のとおりと考えます。

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