AからBへ売買で所有権移転登記がなされた後、実務では様々な理由でAに所有権を戻したいという依頼がある。
Bへ移転した際の登録免許税はどうしようもないが、登記原因によってBと戻りのAに不動産取得税が課税されるかが決まる。
民法上は、詐欺・脅迫による取り消し、行為無能力による取り消し、意志無能力による無効、錯誤による無効等が考えられ、これらの場合は遡及効的に契約が「無効」となるので不動産取得税はBにも戻りのAにも課税されないが、実務的にこれらの登記原因は皆無である。
特に「錯誤」は不動産登記法改正前までは所有権抹消原因の「定番」だったが、登記原因証明情報が添付書類とされたことにより、まずあり得ない原因となってしまった。
なぜなら、物件を取り違えたとか当事者を取り違えたというような「要素の錯誤」はまずあり得ないからである。
では、所有権抹消の原因はどうなるのか?