債権者との攻防(6)


    もう一つの問題。

    それは後順位抵当権者の扱いである。

    抵当権消滅請求は後順位抵当権者にも行っており、後順位抵当権者からの競売申立てはなかった。

    競売になっても100%配当がないので当然だろう。

    そこで疑問点が2つある。

    1.先順位抵当権者の競売申立てによって、競売申し立てしなかった後順位抵当権者の抵当権消滅も阻害されるのか?

    2.先順位抵当権者の競売申立てが取り下げられた場合、後順位抵当権者の抵当権も消滅するのか?

    民法の抵当権消滅請求に関する条文では先順位・後順位の区別について規定しておらず、後順位抵当権者(ニッセイ信用保証)も顧問弁護士に確認すると回答している。(まぁ明確な答えは出せないだろうが。)

    個人的な見解は、1.は微妙だが、2.は確実に「Yes」である。

    先順位抵当権者(住宅金融支援機構)の稟議が下りれば本格的な交渉ができるのだが・・・。

    (抵当権消滅請求)
    第三百七十九条  抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

    第三百八十条  主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

    第三百八十一条  抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。

    (抵当権消滅請求の時期)
    第三百八十二条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

    (抵当権消滅請求の手続)
    第三百八十三条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
    一  取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
    二  抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
    三  債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

    (債権者のみなし承諾)
    第三百八十四条  次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
    一  その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
    二  その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
    三  第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
    四  第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条 において準用する同法第六十三条第三項 若しくは第六十八条の三第三項 の規定又は同法第百八十三条第一項第五号 の謄本が提出された場合における同条第二項 の規定による決定を除く。)が確定したとき。

    (競売の申立ての通知)
    第三百八十五条  第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

    (抵当権消滅請求の効果)
    第三百八十六条  登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

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