個人的に調べたい物件があり、登記記録を取り寄せてみると、以下のような登記がなされていた。
乙区1番・・・抵当権設定(抵当権者:阪和ギャランティ・ファイナンス)
付記1号・・・抵当権譲渡(受益者:預金保険機構)
乙区2番・・・抵当権譲渡抹消
バブル崩壊後の金融危機で阪和銀行が破綻し、その債権が預金保険機構に譲渡されたことにより抵当権が「譲渡」され、その後に「譲渡」のみが抹消されている。
司法書士試験合格から約15年、情けないことに「抵当権移転」と「抵当権譲渡」の違いに気付くまで少し時間がかかった。
登記記録からどうしても理解できなかったのが、抵当権の譲渡が抹消された法律関係である。
預金保険機構に問い合わせてみると、この時期に阪和ギャランティの保証付き債権を某金融機関に売却していることが分かった。
つまり、預金保険機構は債権者ではなくなったので抵当権の「受益者」でもなくなった、というのが抵当権譲渡を抹消した理由だった。
現時点では、債権者である某金融機関の保証会社の地位にある阪和ギャランティが抵当権を設定している状態に戻ったということになる。
なるほど!阪和ギャランティが某金融機関の所有するビルに本店移転していることともリンクする!
ただ、同じように債権譲渡が行われているのに、なぜ預金保険機構だけが「抵当権譲渡」の登記を受けたのかという疑問は残った。
「抵当権者=債権者」の場合は必ず抵当権「移転」を行うはずだが、「抵当権者=保証会社」の場合は抵当権「譲渡」を行う意味はないのではないだろうか?
当時の事情で阪和ギャランティが破綻の危機にあったからだろうか?
というか、阪和ギャランティってまだ普通に存在してたんや・・・。