Cが騙されたことに気付いてすぐに管轄法務局に出向いて事情を説明したようだが、Cは売買代金を支払っている立場のため登記を差し止めると自らが不利益を被るというジレンマに陥る。
詐欺三為スキームには主に3パターン(①Aのみが被害者のケース・②Cのみが被害者のケース・③AとCともに被害者のケース)があり、本件は③と思われるが、Aには被害者意識があまりなく、短期間のうちに登記申請を取り下げる合意はできなかったので、法務局もやむなく処理せざるを得なかったようだ。
登記完了後に登記官に電話を入れた。
オッサンの登記官なら面倒臭そうに対応するだろうと予想していたところ、意外にも若い女性の登記官で問題意識をもって説明を聞いてくれた。
不動産業界の悪質性や司法書士の腰巾着度合い、三為スキームの大半が不動産屋による詐欺行為で司法書士がそれを黙認して登記申請に及んでいることなどを説明したところ、「絶句」していた。
法務局も詐欺の片棒を担いでいることにショックを受けているようだった。
「我々は司法書士の先生方の職責を信じて・・・」と言われたので、不動産屋の腰巾着司法書士に「職責」など皆無であると説明しておいた。
話の分かる方だったので、「司法書士分かれ」についても議論したところ、法務局も「非常に迷惑している」とのことだった。
まぁ当然だろう。
「司法書士分かれ」が単なる形式論ではなく、ダンピングなどの不当誘致から生まれているものだと説明しておいた。
登記官「本件は大阪法務局に報告しておきます」
「珍しく」優秀な公務員だった。